妻と二人三脚であっという間の20年
これからも、川端で
大塚 晃彦 さん
韓国料理 民俗村 店主夫妻
大塚さんが川端商店街でお店をはじめたきっかけを教えてください
もともと私は飲食関係とは無縁のサラリーマンをしていたのですが、約20年前、結婚を機に妻の故郷である韓国の家庭料理店を開店させました。「家にじっとしているのが嫌だ」という妻のために始めた店なんですが、その当時は韓国料理といえば焼肉店がほとんどで、まだ家庭の味を謳った韓国料理店自体が珍しかったんです。そのおかげで、いろんな人に来て頂ける機会が多かったのはありがたいことですね。この場所に店を構えたのは本当にたまたまだったんですが、飲食店に携わること自体がはじめての経験だったもので、いろいろと不安はありました。でも、20年以上続けてこられたことを考えると、良い場所と巡り会えたんだと思いますね。
「ここで店をやっていてよかったな」と思うことはどんなことですか?
店を始めてすぐ子供が産まれたんですが、妻の実家は韓国だし、夫婦で店をやっているもので子供の面倒を見てくれる人がいなくて。もちろん店は休めないので、妻が子供をおんぶして、料理して…と目の回るような忙しさが続いたんですね。2人で必死に働くけど、それでも仕事が追いつかない。ふと見るとシンクには洗い物が山のように溜まっていました。洗わないといけないんだけど、洗うことができない。それを見かねて、当時の常連だったお客さんが、「手伝うよ」と。シンクの食器を洗ってくれたんです。あれは本当に嬉しかった。申し訳ない気持ちと感謝の気持ちでいっぱいで。人の温かさ、情深さを感じましたね。その時おんぶされていた子供も、もう二十歳を越えました。その方にはもうしばらく会っていないですけど、今でもよく思い出す、一番嬉しかった思い出です。
最後になりましたが、お店のことを教えてください
韓国出身の妻が母親から受け継いだ、本場の韓国家庭料理を提供しています。韓国の家庭で使われる味噌や唐辛子などの調味料を現地から仕入れて、本場ならではの味付けにこだわっています。人気の「石焼ホルモン」や、これからの季節にぴったりの「海鮮鍋」などがおすすめです。特に海鮮鍋は、辛いものが好きな方にはぜひ食べて頂きたいですね。博多に住んでいる韓国の方もよく食べにいらっしゃいますよ。