世界から注目される「新しい」伝統工芸品へ
木村 誠 さん
はかた伝統工芸館 館長
趣味 海外の人と交流すること
はかた伝統工芸館のオープン以来、館長を務めていらっしゃるのですか?
はい。平成23年4月7日がオープン日で、4月1日から現職に就任しました。それまで、伝統工芸に関わったことはありませんでしたが、福岡市の職員として、教育委員会や観光コンベンションなどの仕事に従事してきました。青少年への伝統文化の理解や、国際交流といった分野での経験から、私に館長の話がきたのかもしれません。
海外からも、大勢の観光客が来訪されています
日本の伝統工芸に一番勢いがあったのは、1975年(昭和50年)前後です。それ以後はずっと右肩下がりの状況で、現在はピーク時の3分の1ほど。これは、一概に不景気のせいばかりではありません。
伝統工芸品の活性化には、何をしたらいいのか。まず、海外の方に、もっと博多の伝統工芸を知ってもらおうと考えました。海外での評価が上がれば、国内でも再評価されますから。
また、従来の作り方、デザインをそのまま踏襲するのではなく、現代のニーズに合わせることも必要。昨年の秋からは、伝統工芸と若いアーティスト達をコラボレーションした商品展開を始めています。それらが功を奏したのか、来館者数は年々、増加しています。保守的だった伝統工芸の世界も変わりつつあります。
伝統工芸品というと、変わらず受け継がれるもの、という印象がありましたが、違うようですね
伝統は、変わっていかなければただの歴史だ、という言葉もあります。歴史として残っていくだけではなく、時代によって変わりながら、未来に繋がっていくことが大切です。
博多には、博多織や博多人形をはじめ、様々な伝統工芸品があります。伝統工芸の良さや高い技術は引き継ぎながら、もっとボーダーレスに、良いものを取り入れていきたいですね。
また、博多人形は世界的にもクオリティの高い人形です。海外の方にも大変好まれていますが、割れやすいという弱点があります。ですから、「割れにくい梱包」のアイデアなんかも、併せて考えています。
ここから、新しい伝統工芸を発信しているのですね
ここは、博多祇園山笠をはじめ、博多の歴史が息づく場所。歩くだけでも風情を感じます。また、博多駅と天神のどちらからもアクセスが便利で、伝統工芸館の立地条件として抜群です。伝統工芸に触れる機会を皆さんに提供する場であり、作家さんをはじめ、伝統工芸に関わる人達の交流拠点にもなっています。
今後も、伝統工芸品の活性化だけでなく、それを軸とした、様々な人が行き交う拠点にしていきたいです。